日本最古の国産バスともご対面! 最新施設「いすゞプラザ」を“バスびいき”視点で探検! | 高速バス・夜行バス・バスツアーの旅行・観光メディア [バスとりっぷ]

by バス比較なび

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日本最古の国産バスともご対面! 最新施設「いすゞプラザ」を“バスびいき”視点で探検!

日本の長距離バスで現在活躍しているバスのほとんどは、“三大メーカー”と呼ばれる大手3社が製造した国産車です。昨年、その一角である「いすゞ自動車」が、歴史と技術を伝えるミュージアム施設「いすゞプラザ」をオープンしたのをご存知でしょうか。今回は見どころ盛りだくさんのこの施設を“バスびいき”な視点で訪ねてみました!

ざっくり、こんな施設

  • 三大バスメーカーのひとつ「いすゞ自動車」の最新ミュージアム施設を紹介!
  • 「いすゞ自動車」の歴史と技術力を体験型展示でチェック!
  • 日本最古の国産バス「スミダ号」の実車も見学できる!

「いすゞプラザ」を訪れる前に忘れてはならないのが入館予約を入れておくこと。

「いすゞプラザ」は社会科見学など平日でも団体見学が多い施設。入館は無料ですが、土曜・祝日の自由見学日以外は2日前までにホームページから見学予約しておかなければなりません。

見学希望日時、氏名など簡単な情報を入力して2、3分で予約完了。しばらくして「ご来館予約確定のご案内」というメールが届きます。

いすゞプラザ見学予約のお申込み

いすゞのバスに乗って最新のミュージアム施設「いすゞプラザ」へ!

公共交通で「いすゞプラザ」へ行くには、神奈川県藤沢市の湘南台駅が起点となります。湘南台駅には横浜市営地下鉄ブルーライン、小田急江ノ島線、相鉄いずみ野線の3線が乗り入れています。


湘南台駅東口から無料送迎バスが運行しており、行き(湘南台駅発)は午前9時50分から午後3時50分まで、帰り(いすゞプラザ発)は午前10時50分から午後5時5分までほぼ30分おきの出発(16〜17時台の帰りの便は湘南台駅西口着)。

東口の3番のりばで待っていると、ピカピカのバスがやってきました。運転士さんに予約の有無を確認されてバスに乗り、ここから「いすゞプラザ」までは約10分の道のりです。

いすゞ自動車の最新型大型バス「ガーラ」で送迎
いすゞ自動車の最新型大型バス「ガーラ」で送迎
「ガーラ」の車内。バス旅常連者にはおなじみな空間
「ガーラ」の車内。バス旅常連者にはおなじみな空間

「いすゞプラザ」は、いすゞ自動車(以下、いすゞ)の藤沢工場に隣接しています。敷地面積はおよそ100ヘクタールと東京ドーム21個分の広さで、現在は6,000人以上がこの工場で働いています。

いすゞの工場のノコギリ屋根が車窓に映る
いすゞの工場のノコギリ屋根が車窓に映る

バスに乗ってしばらくすると、車窓には「ISUZU」の赤いロゴを冠した大きな建物が。

青空に映えるモノトーンの建物
青空に映えるモノトーンの建物

創業80周年を記念して去年オープンしたばかりの真新しい建物は、日本建築界の巨匠・坂倉準三が創設した坂倉建築研究所による設計。
世界的建築家ル・コルビュジエに学んだ坂倉準三は、世界遺産になった国立西洋美術館の建設にも関わった人物。彼のイズムを継ぐデザインはミュージアムでありながら、開放的な趣を感じさせます。


エントランスで受付を済ませると、入館証のステッカーをもらいます。
そのステッカーを服の見えるところに貼ってミュージアムの中へ。

エントランスで受付を済ませる
エントランスで受付を済ませる
エントランスそばには、いすゞの前身の東京石川島造船所時代に造った初のトラック「ウーズレーCP型」の展示が
エントランスそばには、いすゞの前身の東京石川島造船所時代に造った初のトラック「ウーズレーCP型」の展示が

まずは車のイラストでいすゞの歴史を辿る
まずは車のイラストでいすゞの歴史を辿る


ミニチュアや実車見学で、暮らしのいろんなところに「いすゞの力」があることを実感

いすゞの歴史を彩った車たちが描かれた通路を抜けると、まずは大きなジオラマが展示された「いすゞミニチュアワールド」のコーナーに辿り着きます。

「いすゞミニチュアワールド」の巨大ジオラマ
「いすゞミニチュアワールド」の巨大ジオラマ

「いすゞ市」という空想の街をミニチュアで表現。その中にはバスターミナルもあり、いろんな場所で路線バスや高速バスが登場しています。
映像やナレーションに併せてジオラマを見ながら、改めて私たちの生活のいたるところでいすゞの車やエンジンが働いていることを実感させられます。

建物から人の姿まで細かく作られたミニチュアの数々
建物から人の姿まで細かく作られたミニチュアの数々
人々の生活に溶け込むいすゞのバス
人々の生活に溶け込むいすゞのバス

さらに毎時15分にはジオラマショーも行われます。いすゞ市の一日を追いながら、いすゞの歴史を彩ってきた車が街の中を走っていくというプログラム。

普段のジオラマの中には置かれていないボンネットバスもどこかで登場するので、絶対見逃がすことのないように。

バスターミナルに入っていくバス
バスターミナルに入っていくバス
レトロなボンネットバスも登場
レトロなボンネットバスも登場

次のコーナーでは、現在活躍しているいすゞの“はたらく車”に触れながら見学ができます。大型トラックの「ギガ」、中型トラックの「フォワード」と並んで、大型バスの「エルガ」も展示。

いすゞのはたらく車に触れられる
いすゞのはたらく車に触れられる

現在のいすゞの大型バスは、先ほど乗ってきた高速バス・貸切バス向けの「ガーラ」と路線バス向けの「エルガ」が主力です。「エルガ」は都営バスでも活躍しているので、東京の人には見慣れた車種。

車椅子の方の乗車にもやさしい乗降口の反転式スロープ板や、オレンジ色の伝い歩き棒など、誰でも乗りやすい造りが大きな特長です。

「エルガ」の車内
「エルガ」の車内


また、ちょっとバスから浮気をしてしまいますが、エルガの横には普段は滅多に見られない自衛隊のトラック「SKW(3 1/2tトラック)」が展示されています。この車は災害時の隊員派遣や物資輸送などで活躍している大型トラックで、荷台や運転席を見ることができます。

全長7.15m、全幅2.48m。見るからに頑丈そうなトラック
全長7.15m、全幅2.48m。見るからに頑丈そうなトラック
もちろん運転席にも入れる
もちろん運転席にも入れる

自衛隊員も座る荷台に腰掛けてしばしの休憩
自衛隊員も座る荷台に腰掛けてしばしの休憩

さらに展示を見ていると、いすゞのディーゼルエンジンもありました。ディーゼルエンジンは、南極観測でも長い間活躍しているんだそう。

「やっぱ、いすゞってスゴい!」と心の中でうなずきます。
ここまででまだ全体の3分の1。ちょっと休憩を取って次に向かいます。


スプレーガンで塗装体験も! “触れて感じる”仕組みで「いすゞの技術」を楽しく学ぶ

エスカレーターを昇ると、続いては「いすゞの技術」のコーナーです。
いすゞの大型トラックの「開発」「生産ライン」「販売準備」「アフターサービス」が、時系列順に15項目に分かれて紹介されています。バスもトラックと同じ大型車両なので共通する部分が多そう。

「いすゞの技術」の展示コーナー
「いすゞの技術」の展示コーナー

映像やイラストを交えた展示解説は、小学校高学年くらいの子どもたちでもわかるような内容。「開発」の項目では、企画・デザイン・設計・実験といった一連の工程を「どんなくるまにしようかな?」「どこでつくっているの?」といった具合にやさしく説明してくれます。

イラストや実物を交えてわかりやすく解説
イラストや実物を交えてわかりやすく解説
ラジエーターグリルとシリンダーヘッドの試作品
ラジエーターグリルとシリンダーヘッドの試作品

プロの仕事を支える道具の数々にも注目
プロの仕事を支える道具の数々にも注目

また、どの項目にも“触れて感じる”仕組みがあるのが、このコーナーのポイント。

例えば、デザインの展示ではトラックのCGデータに色付けしてオリジナルカラーの車両を作ることができたり、設計・購買の展示ではCADデータ上でトラックのパーツを分解できたり、楽しみながら学べるので親に連れられて来ていた小さな子どもたちも大はしゃぎの様子でした。

未来のバスを自分好みにカラーリング。私は黄色ベースの明るい色に
未来のバスを自分好みにカラーリング。私は黄色ベースの明るい色に
CADデータを触って車内の細かな構造を知る
CADデータを触って車内の細かな構造を知る
塗装の工程ではスプレーガンを使ってドアの塗装を疑似体験できる
塗装の工程ではスプレーガンを使ってドアの塗装を疑似体験できる
運転席の細かな部品をパズルのように当てはめる体験ができる艤装(ぎそう)の工程
運転席の細かな部品をパズルのように当てはめる体験ができる艤装(ぎそう)の工程

トラックの運転席を再現したドライブシミュレーターにも挑戦。「ゴールド免許所持者の実力を見よ!」と意気込み十分で臨みましたが、やはり乗用車に比べると車両感覚を掴むのが難しい。

交差点の左折右折だけでだいぶ苦戦して恥ずかしい気持ちに(泣)。

意外と難しいトラックの運転で、自然と肩に力が入る
意外と難しいトラックの運転で、自然と肩に力が入る
いすゞの魂というべきディーゼルエンジンの展示も豊富。大型トラックに搭載されている最新型のクリーンディーゼルエンジンの精巧な模型も
いすゞの魂というべきディーゼルエンジンの展示も豊富。大型トラックに搭載されている最新型のクリーンディーゼルエンジンの精巧な模型も


国産バスのレジェンドともご対面! 数々の名車で「いすゞの歴史」を辿る

ラストは歴代の車たちとともに「いすゞの歴史」を辿るコーナーを見学。ここでは、1916年(大正5)に東京石川島造船所と東京瓦斯電気工業が自動車製造を計画したことから始まった、いすゞの歴史が紹介されています。

「いすゞの歴史」の展示コーナー
「いすゞの歴史」の展示コーナー

実は“バスびいき”の私が今回最も楽しみにしていたのはこのコーナー。なぜなら、この展示室では1929年(昭和4)に今のいすゞが初めて製造を開始した国産ボンネットバス「スミダ号」の実物が見られるのです。

バスマニアにとっては感動モノに違いない「スミダM型」
バスマニアにとっては感動モノに違いない「スミダM型」

エンジンが運転席の前にあるのがボンネットバスの特徴。1960年代までは街で普通に見られたボンネットバスですが、1970年頃にはリアエンジン型のバスに移り変わって徐々に姿を消し、今やバス会社のイベントや一部の観光路線などでしか見られなくなった昭和の思い出に。

記憶に新しいところでは、昭和の高度成長期が描かれた朝ドラ『ひよっこ』のオープニングでもボンネットバスが登場していましたね。

展示室の入り口に置かれている「スミダM型」は、1932年(昭和7)に製造されたもの。現存する国産バスの中でも最も古い車体で、ややずんぐりとしている丸みを帯びたデザインには昭和の面影が漂います。

左右にはみ出した大きな車輪や丸いヘッドランプが印象的
左右にはみ出した大きな車輪や丸いヘッドランプが印象的
「スミダ」のエンブレムは、神話の時代から育まれた木材「神代杉」に由来
「スミダ」のエンブレムは、神話の時代から育まれた木材「神代杉」に由来

「STOP」の文字が入ったバックライトは「かわいい」と評判で、インスタ目的に撮っていく女子も多いそう
「STOP」の文字が入ったバックライトは「かわいい」と評判で、インスタ目的に撮っていく女子も多いそう

案内スタッフの女性から話を聞いて何より驚いたのは、このバスが動態保存だということ。つまり製造から80年以上たった今でも走行可能なのです。実際に地域のイベントで走らせることもあるそうです。

また、警察で使われていたこの車体には特別にドアが付いていますが、通常のスミダM型にはドアがなかったそう。もちろん回数券や運賃箱もなく、乗降口に「バスガール」と呼ばれた女性がいて車掌的な役割をしていたといいます。

サイドミラーもない「スミダM型」。運転士とバスガールが連携して安全に運行されていた
サイドミラーもない「スミダM型」。運転士とバスガールが連携して安全に運行されていた

当時、このバスガールは女性たちの憧れで、今でいえば航空会社のキャビンアテンダントのような花形職業だったとか。もはや整理券で運賃を計算する時代を越えて、ICカードでワンタッチが当たり前になった私たちには驚きの話です。

同じ展示室に飾られた歴代車種のミニチュア
同じ展示室に飾られた歴代車種のミニチュア
最初の純国産社「ウーズレーA9型乗用車」のミニチュアは、いすゞの会長が作ったものなんだとか
最初の純国産社「ウーズレーA9型乗用車」のミニチュアは、いすゞの会長が作ったものなんだとか

同じ部屋には、いすゞの歴史を彩った名車の数々や、歴代のいすゞ車のミニチュアが勢ぞろいで展示されています。さらには2017年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「FD-SI」も見ることができます。

日本初の本格的ディーゼルエンジン車として、1961年(昭和36)から販売された「ベレル」
日本初の本格的ディーゼルエンジン車として、1961年(昭和36)から販売された「ベレル」
アメリカのシボレーとの業務提携で1972年(昭和47)から販売された「シボレー LUV」
アメリカのシボレーとの業務提携で1972年(昭和47)から販売された「シボレー LUV」
数々の工業デザインで名作を残したイタリアの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた1968年(昭和43)発売の「いすゞ117クーペ」
数々の工業デザインで名作を残したイタリアの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた1968年(昭和43)発売の「いすゞ117クーペ」
近未来の宅配車としてデザインされた「FD-SI」
近未来の宅配車としてデザインされた「FD-SI」

バスをはじめ、いすゞ自動車が造る”はたらく車”の歴史と技術力を知ることができる「いすゞプラザ」。

正直「バスはどれに乗っても同じ」と感じている人も、ここを訪れてみると自然といすゞのバスに愛着が湧いてくるはず。すべてをしっかり見ると半日以上はかかるので、できれば午前中から訪れることをおすすめします!

いすゞプラザ

神奈川県藤沢市土棚8 Google Map
0466-41-5811
開館時間:10:00~17:00 (受付16:00まで) 火~金《完全予約制》 土、祝日《自由見学日》
休館日:日、月曜日(祝日の場合は翌平日)、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始
入館料:無料
Webサイト

※本記事は、2018/03/08に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。

  • この記事を書いたライター

    鈴木翔

    編集者兼ライター 30代 / 男性

    面白いことが大好きな編集者兼ライター。仕事やプライベートで世界各地を旅しているのでバスは常に欠かせない交通手段。これまで最高だったバス旅は、ペルーのチチカカ湖周辺からボリビアのラパスまでの「インカの聖地ルート」。最悪だったのはラオス北部の村から世界遺産のルアンパパーンまでの「12時間耐久・山岳酷道ルート」。最近、中野区から勝どきに引っ越して、なんちゃってセレブ生活を満喫中。

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