ツアー内容が斬新すぎる! 入棺&遺影撮影体験…アルピコ交通の「終活バスツアー」を徹底調査
ざっくり、こんな移動
- 本物の葬祭場で入棺体験&遺影撮影
- 山梨県の名刹、身延山久遠寺を散策
- 温泉郷のホテルでランチと入浴三昧
今、人生の終わり方を考える「終活」がシニア層を中心に注目を集めています。
そんな中、長野県の松本市に本社を置くアルピコ交通では、こうした世相を反映した日帰り「終活バスツアー」を企画。
2017年12月21日に行われたツアーに参加してきました!
出発地となった松本駅での集合は早朝の7時。当日の朝の気温はなんとマイナス5℃!
朝焼けに染まった北アルプスの山々の稜線に心を奪われながらも、氷点下の寒さにこらえきれず早々と暖か~いバスの中に乗り込みます。
終活に精通した「葬儀のプロ」もツアーに添乗!
このツアーは、松本市を中心に葬儀場「法祥苑」を運営するアステップ信州とのコラボによって実現。
アルピコ交通でツアーを企画した中嶋綾子さんとともに、法祥苑の一級葬祭ディレクター・庵谷寛さんもガイドとして添乗していました。
出発の車内では、まず二人の挨拶からスタート。庵谷さんが「葬儀というとどうしても暗い話になりがちですが、どうにか明るく楽しいツアーにしていきましょう」と述べると車内に笑いが起こり、何となく張り詰めていた緊張の空気がほぐれました。
ツアーには、松本市とその周辺在住の55〜83歳の方々9名が参加。
この日は、まず塩尻市にある「すが野法祥苑」で入棺体験と遺影撮影を実施。
その後は山梨県に移動して身延山久遠寺で法話を聴き、その近くの下部ホテルでランチと温泉を楽しむという行程になっています。
バスはアルピコ交通のツアーの主要車両である、いすゞのガーラ。2席+2席の配置で11列最大45人乗りの車体です。
各席にミニテーブルが付いていて、アームレストも上げ下げ可能と乗り心地は快適。
「入棺体験」で死後の世界に没入する!?
松本駅を出て30分ほどして、お隣の塩尻市にある「すが野法祥苑」に到着。
ここでは本物の棺桶に入る「入棺体験」と遺影の撮影を体験します。
さっそく式場に案内されると、そこには値段のグレードが異なる3つの棺桶が並べられていました。
棺桶をまじまじと見るというのも滅多にない機会。
じっくり見ると、中にはやわらかそうな白い布が敷かれていて、枕は頭の形に合わせてくぼんでいます。
実際の葬儀では、遺体は湯灌(ゆかん)で体を綺麗に清められた後、布団に包まれて棺桶の中に納められるんだそうです。
「どうぞ、入ってみてください」とスタッフの方に促されて私も入棺を体験。慎重に足を踏み入れながら、枕に頭を合わせて横たわります。
ちなみにこの時、“正しい入り方”を尋ねてしまったのですが、そもそも人に運んでもらうものなので入り方なんてあるはずもなく、何となく恥ずかしい気分に(笑)。
ここに用意されていたのは平均的なサイズの棺桶で、身長175cmの私にはやや小さめ。肩の周りがちょっと窮屈でしたが、背中は意外とふかふかとしていて寝心地良し。
そして、上からフタをかぶせてもらうと視界は真っ暗になり、まさに無の極地に誘われます。
静寂の中でじっと目を瞑り、自分が死んだ後のことを想像。
すると、自分の顔を覗き込む家族の顔が浮かんだり、このまま火葬場へ運ばれていく姿が浮かんだり、頭の中でいろいろな想像が広がります。
さらには、自分が入るお棺を自分で選ぶのはきっと難しいけど、本当に自分が死んだらできるだけ窮屈じゃないお棺に入れて欲しいなぁ……なんて思ったり。
庵谷さんに伺うと、お棺の造りに厳密なルールはないものの、火葬場の炉に入る範囲内で大小様々なサイズが用意されているそう。
また、ナイロンや化学繊維などのように、火葬の際に燃えにくかったり有害物質が出たりするようなものは素材に使えないようです。
「その人らしさ」を引き出してくれる遺影撮影
続いては、遺影の撮影も体験。本格的なセットの中、プロのカメラマンが顔の向きや表情などを細かくアドバイスしながら撮影してくれました。
機材は普通の写真スタジオで証明写真を撮る時のものと同じようでしたが、遺影の場合は体の向きをやや右斜めに回し、顔だけ正面を向くというのが基本の体勢。
ただ、カメラマンに伺ったところによると、限られた時間の中でできるだけ“その人らしさ”を引き出してあげることが遺影にとって一番大事なのだそう。そのため、その人の自然な人柄が見えるならあえて目線を外した写真も“あり”なのだとか。
ロマンチストたちの憧れ!?「散骨」の決まりごとって?
再びバスに乗り込み、ここから山梨県の身延山まで約2時間半の移動。
その時間を使って車内で終活講座が開催され、葬儀のプロである庵谷さんが「家族葬のメリットとデメリット」「エンディングノートの書き方」「最近のお墓事情」を主なテーマにレクチャー。
まずは葬儀までの流れや細かなしきたりをビデオで学んだ後、各自に詳しい資料が配られ、そこに庵谷さんのユーモアあふれるトークが添えられ、楽しく分かりやすく終活を学ぶことができました。
様々な話を聞きながら私が感じたのは、時代の流れに合わせて故人の送り方も多様になってきているということ。
例えば、昨今は葬儀の時に故人の思い出写真をまとめたメッセージボードを置く場合もあることや、遺骨をペンダントに入れて保管する「手元供養」、木を墓標とする「樹木葬」など、想像以上に様々なスタイルがあることを知りました。
もうひとつ驚きだったのは、「散骨」(※火葬した後の焼骨を粉末状にし、海などに撒く葬送方法)も一歩間違うと犯罪になってしまうということ。
散骨すること自体には手続きや書類提出などが必要ないそうですが、遺骨を撒く時には遺灰(2mm以下の粉末状)にするのが絶対条件で、もしこれを守らずに散骨すると、墓埋法違反で3年以下の懲役になるんだそう。
また、手続きはないとはいえ常識的なマナーを守ることが必要。
どこでも撒いていいわけではなく、漁場になっている海や他人の家の敷地に許可なく散骨するのはもちろん迷惑がかかります。
そのため、遺骨を遺灰にしてくれたり、散骨をサポートしてくれる専門業者もあるのだとか。
いずれにしても「もし死んだら、骨は海に撒いてほしい…」なんてロマンチックな憧れは、映画や小説のワンシーンのように楽じゃないんだなぁと実感しました。
豪華絢爛な身延山久遠寺に圧倒される
車内での終活講座が終わってほどなくして、バスは11時過ぎに身延山久遠寺に到着。
ここは文永11年(1274年)に日蓮聖人によって創建された歴史あるお寺。日蓮宗の総本山として他県からも多くの参拝客が訪れます。
案内された巨大な本堂もさることながら、その前に立つ五重塔も見事な建築。
本堂では日本画家・加山又造による巨大な龍の天井画の下、山務員の武島法儀さんによる終活をテーマにした法話を拝聴。
約30分にわたる法話の中では、「知恩報恩」という教えとともに日蓮上人にとっての終活について説かれ、数々のタメになるお話を聞くことができました。
「日本の名湯百選」に選ばれる名湯で天にも昇る気分♪
その後は、同じ身延町の下部ホテルに移動してお楽しみのランチ。
桜鱒、湯葉、ほうとうなど、山梨の味覚の数々に大満足!
食後はホテル自慢の硫黄泉も楽しめて、身延山散策でちょっと冷えていた体もポカポカに。
武田信玄ゆかりの湯とも言われる温泉が体にじっくり染みわたります。
湯船に浸かりながら、終活体験とは違う意味で(笑)、天にも昇るような気分になりました。
遺影写真を受け取り、ツアーは大満足で終了
その後、バスは出発地点の松本駅へ戻ります。
途中で、すが野法祥苑に再び立ち寄り、できあがった遺影写真を受け取り。ツアーのお土産にもなります。
渋滞もなく、予定より30分ほど早く夕方6時前には松本駅に到着。
終活について学べた上に貴重な体験もでき、さらには身延山散策や温泉入浴もできて、本当に充実した一日でした。
※本記事は、2017/12/30に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。
鈴木翔
編集者兼ライター 30代 / 男性
面白いことが大好きな編集者兼ライター。仕事やプライベートで世界各地を旅しているのでバスは常に欠かせない交通手段。これまで最高だったバス旅は、ペルーのチチカカ湖周辺からボリビアのラパスまでの「インカの聖地ルート」。最悪だったのはラオス北部の村から世界遺産のルアンパパーンまでの「12時間耐久・山岳酷道ルート」。最近、中野区から勝どきに引っ越して、なんちゃってセレブ生活を満喫中。
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4,500円 | 4,500円 | ||
4,400円 | 4,400円 | ||
4,400円 | 4,400円 | ||
6,200円 | 6,000円 | ||
2,100円 | 1,900円 | ||
3,200円 | 3,200円 | ||
2,400円 | 2,400円 | ||
300円 | 300円 | ||
3,500円 | 3,500円 | ||
700円 | 500円 | ||
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