知ってた? 高速バスは座席の位置で料金が変わる! その理由とは
ざっくり、こんな豆知識
- 座席の位置によって値段が変わるバス便がある
- どの位置が高い? or 安い?
- 以前は、すべての座席の値段は共通だった
高速バスを予約する際、バス便によっては希望の座席を指定することができます。
どの座席でも選べるとしたら、あなたはどの位置を選ぶでしょうか?
実はあまり知られていないことですが、高速バスは座席の位置によって値段が変わる場合もあります。
ここでは、座席による値段の違いやその理由などについて紹介していきます。
どの位置が高い? or 安い? 高速バスの座席による値段の違い
例えば下の画像は、VIPライナーのある便の例です。
この便の場合は、
1)窓側席は、4,100円
2)中央の席は、3,600円
3)運転席のすぐ後ろにある2席は、5,100円
4)中央の最前列は、3,100円
5)出入り口側の最前列席は、4,600円
と、同じバス車内でも料金が5パターンに分かれています。
料金の高いほうから順に並べると、
運転席側の前列2席 > 出入り口側の最前列席 > 両窓側席 > 中央列の席 > 中央の最前列席
という順番。
中央よりも窓側のほうが高くなるのは理解しやすいと思います。
ただ、それ以外の席についてはどういった理由があるのでしょうか?
高速バスマーケティング研究所代表の成定(なりさだ)さんに聞いてみました。
シートの位置によって値段が変わる理由とは?
成定さん
まず前提として、高速バス車両には、メーカーの標準仕様ほぼそのままの車両と、特別仕様(オーダーメイド)の車両があります。
上の例であげられている車両は特別仕様のため、あくまでこの車両の場合の特徴・理由ということで説明しますね。
1)窓側の席
あまり外の景色を見ることのない夜行高速バスであっても、中央の席より窓側席のほうが人気が高い傾向があります。
冬場は、窓側席だと窓ガラス越しに冷気が伝わってくる場合もあり中央列を好む方もいらっしゃいますが、バス会社によっては冷気が伝わりづらいよう工夫もされていますね。
またこの車両の場合は、プライベートカーテンが「窓側席と通路の間」に設置されており、中央列だと通路と自席の間にはカーテンがありません。
そのため、お互いに隣の人の寝顔が見えないのはどの座席も共通ではありますが、窓側席だとほぼ個室感覚になるため、窓側席のほうが高くなっているのだと思われます。
2)中央の席
中央の席の場合は上で触れた通り、自席と通路の間にカーテンがなく、窓側の席に比べるとプライバシー性は低いため少し安くなっているのだと思われます。
とはいえ両サイドにカーテンは引かれますし、気にならない人は全く気にならないと思いますが。
3)運転席側の最前列席
この車両は車両中央部(進行方向右手)にトイレが設置されていますが、トイレの前のスペースには、通常3列分の座席が並ぶところ2列しか設置されていません。その分、足元もゆったりしていますね。
この2席限定で電動のランクアップシートを装着していることに加え、シートピッチ(座席の前後間隔)を広めにとってあることが、値段の違いが生まれる大きな理由だと思います。
4)中央の最前列席
中央の最前席は、この車両の構造上、足元が若干狭めになっています。
また、休憩の際に他のお客様が通りますし、休憩時にドアが開くと冬場などは外の冷気が入ってくることもあります。
そのため最も安くなっているのでしょう。
5)出入り口側の最前列席
この車両の場合、出入り口横にあるサービスボックス(一般的には、サービス用の備品類を入れる棚や冷蔵庫などに使われる)を改造して、出入り口側の最前列席シート専用のオットマン(足置き)が設置されています。
他の座席よりも足元のスペースを広く使うことができるため、少し値段が上がっているのでしょう。
おすすめの当たり席! 4列シートの一番後ろ・最後尾席は値段が高い場合も
また、上の例には当てはまりませんが、4列シート車両の場合、一番後ろの最後尾席が最も値段が高い場合があります。
最後尾は最も「当たり」といってもいい席。
後ろを気にせずリクライニングを倒せる上、停留所や休憩の際に他のお客様が通路を横切ることがないので、落ち着きます。
そのため、座席を指定できる4列シートでは多くの場合、最後尾から席が埋まっていきますね。
もし選べる場合は、最後尾の座席を予約するのがおすすめですよ。
以前はすべての座席の値段は共通だった
成定さん
こういった、座席の位置ごとに値段が変わる高速バスというのは、実は最近登場し始めたものです。
以前は、同じ車両であればすべての座席で値段が共通というのが一般的でした。
実は、以前は高速バスの運賃について厳しい規制があり、バス会社が価格を設定することはできず、原則として同じ区間であれば同じ運賃と決められていました。
そのためバス会社としては、同じ車両の中ではどの座席でも快適性がなるべく平等になるよう努力していました。
それでも、2002年、2006年、2012年に制度改正(規制緩和)が続き、高速バスの運賃設定の自由度が高まったこと、またネット予約の普及により個別の座席を選んで予約しやすくなったことで、座席によって運賃が異なるバス便が増加。
利用者の要望なども考慮し、同じバス便であっても座席にいくつかの選択肢を設けるバス会社が増えています。
大きく分けると2パターンのバス便が
「座席の位置ごとに値段が変わる高速バス」は、大きく2パターンに分けられます。
ひとつは、1台のバスの中で、異なる「座席グレード」が設定されているバス。
例えば、西日本鉄道の「はかた号」には、同じバス車内に「プレミアムシート」と「ビジネスシート」があります。
また、京王バス・アルピコ交通の「高速バス松本-新宿線」の一部便は、基本は4列シートで前方の数席が3列シートという形になっています。
そしてもうひとつは、
個別の座席ごとに、運賃(または「運賃+座席指定料金」)が小刻みに設定されているバス。
上に例であげているVIPライナーのバスはこちらに入りますね。
また、例えば桜交通の場合は、座席の位置ごとに指定料金が設定されているバス便があります。
座席を指定する場合は、通常運賃に加えてこの指定料金を支払います。
(座席位置をお任せの場合は、通常運賃のみで乗車が可能)
まとめ
以上、同じバス車内でも座席の位置によって値段が変わる場合がある、という話でした。
意外と知らなかった人も多いのではないでしょうか。
次に高速バスを予約する際は、ぜひ注目してみてください。
※本記事は、2017/10/22に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。
バスとりっぷ編集部
なかのひと
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