実は数年前までバス運転手は人気の職業だった? 「どらなび」社長・中嶋美恵さんインタビュー 前編 | 高速バス・夜行バス・バスツアーの旅行・観光メディア [バスとりっぷ]

by バス比較なび

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実は数年前までバス運転手は人気の職業だった? 「どらなび」社長・中嶋美恵さんインタビュー 前編

現在バス業界には高齢化の波が押し寄せています。とりわけ深刻になっているのが、高齢化に伴う人手不足。そんなバス業界の運転手不足に解決策を見出そうと奮闘しているのが、国内初のバス運転手専門の求人サイト「バスドライバーnavi」(通称:どらなび)を運営しているリッツMC株式会社の社長・中嶋美恵さんです。

現在バス業界には高齢化の波が押し寄せています。とりわけ深刻になっているのが、高齢化に伴う人手不足。
特にバスを運行するうえで最も重要な運転手の不足は、早急に解消しなければならない課題になっています。

しかし、この問題の解決は簡単ではなく、「求人を出しても、応募がない」と採用担当者は頭を抱えている状態。

そんな中、深刻さを増しているバス業界の運転手不足に解決策を見出そうと奮闘する女性がいます。

国内初のバス運転手専門の求人サイト 「バスドライバーnavi」(通称:どらなび)を運営しているリッツMC株式会社の社長・中嶋美恵さんです。

リッツMC株式会社 代表取締役社長 中嶋美恵氏
リッツMC株式会社 代表取締役社長 中嶋美恵氏

中嶋社長に、「どらなび」立ち上げの背景や経緯を伺いました。


実は数年前まで人気だったバス運転手という職種


――まず、「どらなび」を立ち上げたきっかけについて教えていただけますか?

バス運転手専門の就職イベント『どらなびEXPO 2017 秋』
中嶋社長 「どらなび」を立ち上げたのは、3年前の2014年7月です。意外に思うかもしれませんが、バス業界はつい5~6年前まで運転手の求人にはまったく困っていませんでした。

なぜなら、バスドライバーはバス業界の中でも花形の職種ですし、欠員が出ても自社HPやバスの車内広告で求人を出すことができます。親会社が鉄道を運行していれば、駅や車内に求人広告を出すこともできます。
バス会社は、とにかく人がよく目にするところに求人を出せるという強みがあったのです。だから、募集を出してもすぐに応募がある状態でした。そのため、これまでのバスの運転手は買い手市場になっていました。


――なるほど、それは意外でした。ではそれがどうして人手不足になったのでしょうか?

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中嶋社長 状況が変化し始めたのは、2013年末から2014年にかけてでした。運転手不足が急速に進んでいったのです。その背景には、運転手のボリュームゾーンを担っていた団塊の世代が一斉に退職してしまったことがあります。

そこで、ドライバーを補充するべく募集をかけたのですが、これまでのように応募がなかったのです。また、応募があっても条件が合わずに採用できなかったり、採用できてもすぐに辞めてしまったりという状況で。

とにかく担当者が口を揃えるのは、応募が極端に減少したということです。今までと様子が違うので、きちんと採用について考えていかなければならないんじゃないか、とバス業界が動き始めたのです。


人材業界×バス事業の経歴を生かし「どらなび」を立ち上げ


――中嶋さんのキャリアを拝見いたしますと、バス会社で勤務していた経歴はありません。なぜ、バス運転手専門の求人サイトを立ち上げることになったのでしょうか?

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中嶋社長 私はバスマニアでもなく、関連会社も含めバス会社に勤めた経験もありません。バスとは無縁な人生を送ってきたんですが、声をかけられた理由は社会人としての経歴にあると思っています。

大学を卒業すると、まず飲料メーカーに勤務しました。その後、リクルートに転職。リクルートでは6年間、人材系の営業をして人事採用の経験やノウハウを積みました。7年後、今度は楽天トラベルへと転職します。

楽天には6年間勤務しましたが、最初の2年間はバスサービスという事業に携わりました。この事業では、主にネットで高速バスの予約ができるサイトの運営を手掛けます。そこでバス業界との縁ができたのです。


――なるほど。楽天でバス事業を経験されていたんですね。

中嶋社長 その後に独立するわけですが、当初は、バス関連の仕事はしていませんでした。

ある日、久しぶりにバス業界の方々と話をしていると、「バス業界は人手不足で困っている。特にドライバーが集まらない。何とかならないだろうか?」と相談を持ち掛けられました。

例えば、どこかのバス会社で長らく人事を担当されていた方でも、自分の会社のことはわかっても他社の事情には疎くなります。他方で、リクルートやマイナビといった就職や転職を専門的に扱っている会社に長らく勤めていた人だと、採用のプロには違いありませんが、バス業界ならではの独特の事情がわからないという難点があります。

私のところに、そうした話が来たのは人材系の仕事に精通していて、なおかつバス業界のこともわかる人がいなかったからだと思います。


――それが「どらなび」発案のきっかけだったと。そこからすぐに事業立ち上げへと進んだのでしょうか?

中嶋社長 私はバス専門の求人サイトを運営する前に、バスの求人広告が載っている媒体を調べました。紙・WEB問わず徹底的に。すると、バスの求人を専門的に扱っている媒体がなかったのです。

最近の求人媒体は、専門性が強くなっています。よく目にするのは飲食専門やアパレル関連専門といった感じですが、コアな分野ではトリマー専門の求人サイトもあったりします。

でも、バスの運転手はありませんでした。大手求人媒体を見ても、バスの運転手は3つぐらいしか載っていないのです。これでは、バスの運転手になりたいと考えている人が募集をみつけられないでしょう。そうなると、志望者も「バスの運転手募集は○○社しかないから、仕方なく受けている」という状態になってしまいます。

一方で、採用するバス会社にとっても「人が足りないから、とりあえず応募してきた人を採用しよう」となりかねない。それでは、ミスマッチングが起きやすく、バスドライバーになりたいと考える人にとっても採用するバス会社にとってもマイナスになってしまうのです。

――バスドライバーに特化した求人サイトがないということは、需要がないからだとは考えなかったのでしょうか?

中嶋社長 「どらなび」を立ち上げるにあたり、知り合いのバス会社を訪問するなど、約20社にヒアリングをおこないました。そのうち、ほぼ100パーセントの会社がドライバー不足で困っている状態でした。そこで、バスドライバーに特化した求人サイトには需要があると確信したのです。

その一方で、バス運転手に特化したサイトを運営しても儲からないという予感もありました。周囲からも「よく、こんなニッチな分野に進出したよね」と言われるほどです。それでも、私は需要があるのだから何とかなると自分を信じました。


全国のバス会社が「どらなび」に求人掲載


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中嶋社長 「どらなび」の開設から、約3年が経過しました。今では北は北海道から南は沖縄まで、約300社の求人を扱うようになりました。そして、常時120件前後の求人を掲載しています。

――すごい。大成功ですね。

中嶋社長 いまは、より使いやすいサービスにするため様々な改善も行っています。
例えば、「どらなび」に会員登録をしておくと、自分に合ったバス会社の求人情報が送られてくるシステムも導入しました。一度、住所・氏名を入力しておけば、応募のたびに何度も入力しなくても済むようになり、バスドライバー志望者にとっても便利で探しやすいシステムになっています。

また、弊社の取引先は、首都圏と中部・関西で8割を占めます。現在でも北は網走、南は西表島までカバーしていますが、北海道は5社、沖縄は1社です。
バス会社は全国に約5,000社ありますから、今後はカバーエリアを全国に広げていきたいと考えています。特に、地方のバス会社を増やしていきたいですね。

インタビュー後編はこちら

おしらせ【バス運転手専門の就職イベントを開催】

「どらなび」では、就職イベント「どらなびEXPO2017秋」を開催します。
バス運転手の仕事に興味がある方のご参加をお待ちしています。

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各会場の日程は以下の通りです。

東京会場
東京・新宿 2017年10月14日(土)11:30~17:30
会場:新宿エルタワー30F サンスカイルーム

関西会場
大阪・梅田 2017年10月28日(土)11:30~17:30
会場:グランフロント大阪 北館タワーB棟10F ナレッジキャピタルカンファレンスルーム

名古屋会場
愛知・名古屋 2017年11月11日(土)11:30~17:30
会場:ミッドランドスクエア オフィスタワー5F ミッドランドホール

すべて入場無料・予約不要(予約特典あり)
詳しくは、どらなびWebサイト もしくは03-5545-8322(リッツMC株式会社)まで

※取材協力/リッツMC


※本記事は、2017/10/11に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。

  • この記事を書いたライター

    小川裕夫

    フリーランスライター 40代 / 男性

    1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーランスのライター兼カメラマン。2009年には、官邸開催の総理大臣会見にフリーランスカメラマンとして史上初の参加を果たす。主に総務省・東京都・旧内務省・旧鉄道省が所管する分野とEspañolを取材。海外取材はエクアドル(キト・ガラパゴス諸島)、スペイン(マドリード・バルセロナ・セビーリャ)、香港、マカオ、台湾など

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