バスドライバー歴26年のベテランが語る「感動体験」を紹介!
皆さんはバスを利用する機会があっても、バス運転手と直接話をする機会はほとんどないはずです。安全が叫ばれている現状において、日々どのような思いで運転をしているのか気になる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、東京~大阪間で『たびのすけバス』を運行する青垣観光バスのドライバーにインタビュー。日々の努力や思い、過去にあった感動体験などを紹介します。
今回取材したドライバー
青垣観光バスの山田修司(やまだ・しゅうじ)さん。
これまで街中を走る定期路線バスをはじめ、貸切バスや高速バスなどを担当。26歳からバス運転手を始め、今やドライバー歴26年の大ベテラン。人生の半分をバスドライバーに注いでいる。
親子2代でバス運転手!
――ドライバーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
山田さん 実は、私の父親もバスドライバーをしていて、物心ついたころから身近な存在でした。最初は自分が同じ仕事を選ぶとは思っていなかったんですけど、気が付いたらなっていました(笑)。
父親の背中を見ていたり、小さい頃に職場に連れて行ってもらったり、そういう体験から知らず知らずのうちにバスに気持ちが寄っていたんだと思います。どっかで好きだったんでしょうね。
――お父様は喜ばれました?
――ドライバーになってよかったと思うことはありますか。
山田さん それは何と言っても、お客様から感謝の言葉をもらうことですね。観光バスをやっていたときに、添乗員さんがお客様に運転手への拍手を促したりするんですが、本当に気持ちいいですし快感ですね。
あと、サービスエリアでお客様と雑談したりするのも楽しいですね。たまに話しかけてくださる方がいて、最後に飲み物とかお菓子をくださることもあります。物をもらうのがうれしいというのではなく、その気持ちですよね。よかったなと思います。せっかく乗ってもらったお客様には少しでも喜んでもらいたいので。
――逆に苦労や大変だと感じるはどんなところでしょうか。
山田さん 基本ポジティブなのであまり苦労を考えないようにしているんですが、どうしても高速で渋滞などに出くわすと、やっぱり時間に遅れたりするので大変ですね。
どうしたらお客様に迷惑かけずになるべく早く到着できるかは常に考えますね。大きな渋滞だったら、会社の許可をとって迂回をしたり、機転を利かせるようにしています。
ベテラン運転手の記憶に残る感動体験!
――記憶に残っている感動体験はありますか。
山田さん 以前に、関西で地域を走る路線バスのドライバーをしているときに、乗客の学生さんがてんかんでひきつけを起こしてしまったことがありまして。その場でバスを道に寄せて、救急要請して病院に運ばれて大事に至らなかったんですが、その学生さんのご実家が北海道で、わざわざ親御さんがこちらまで出向いてお礼をいただいたことがありました。当たり前のことなんですけど、正しい対応ができてよかったなと思いますし、感謝されてすごく感動しましたね。
――日々の運転で気を付けていることは何でしょうか。
高速道路ではスピードが速いので、何かあれば大事故になりかねないですし、一般道は歩行者や自転車などもおりますのでこちらも注意が必要。ケースバイケースで安全への対応が求められますね。
運転技術も安全も終わりがないので、日々精進することや自己研鑽は大事だと思います。運転席から後ろのお客様を見ると、40人近くの命が乗っているわけで、何かあったらと思うと妥協はできないですし、毎回背筋を伸ばしてしまいますね。
――夜行バスを運転する際の眠気対策はどうしていますか。
山田さん 東京~大阪間の夜行バスを運転する際は、その日の昼間に必ず寝るようにしています。ただ、人間なのでときには眠くなってしまうこともあります。そういった場合は、2人体制なので必ず運転を代わってもらいます。無理をするとろくなことがないので、とにかく安全を優先します。あとは、当たり前のことですが、イライラせずに常に心平静で乗るようにしています。
バス運転手の魅力はズバリ…
――運転していて好きな場所はどんなところでしょうか。
――ご自身で行きたいバス旅を教えてください。
山田さん そうですね。僕は信州がいいですね。冬は雪景色がきれいですし、スキーもできます。夏は緑が多くて自然豊かなのですごく好きです。
――大ベテランの山田さんから見たバスドライバーの魅力はなんでしょうか。
山田さん 極端な話ですけど、皆さんがお金払って行くところに僕らは仕事で行けるので、それはうれしいですね。普段行けない地域にも行けますし、行く先で友人に会えたりもするので。
過酷な職業のように面白おかしく言われますが、シフト制で休みもあります。テレビで報道されるような長時間労働や給与が払われないこともないので、過酷だとは思わないです。もちろん、会社によるとは思いますけど。なによりバスが好きというのが前提にあるので、26年も続いているでしょうね。
深刻なドライバーの不足はなぜ起きている?
――バスのドライバーが業界的に足りていませんが、なぜだと思いますか。
山田さん 大型2種免許を取得するのがネックになっている部分はあると思います。取得自体が難しいのもあるでしょうし、お金が高いのもあると思います。若い人が減っているのも理由の一つとも言えますけど。
――バスドライバーのイメージがもっと良くなるといいですが…。
山田さん 電車や飛行機よりもバスのドライバーはイメージ的に低く見られているように感じるときがあって、少し残念ですね。どうしても業界のなかで1が悪いことをすれば、残りの99も悪く見られてしまうことが多い。実際そうではないので。僕ら自身もしっかりやっていることを普段から見せていかないといけないなとは思いますね。これからも頑張ります。
※本記事は、2017/02/03に公開されています。最新の情報とは異なる可能性があります。
※バス車両撮影時には、通行・運行の妨げにならないよう十分に配慮して撮影を行っています。
バスとりっぷ編集部
なかのひと
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